- スポンサーサイト
- No.15 退院の朝。 入院十二日目
-
2014.10.06 Monday
No. 15
急性胆管炎、発症から手術、入退院までのちょっと可笑しな体験記
2014.7,26 AM6:00
日課となった散歩兼新聞待ちで守衛さんとも、顔見知り
となり手渡しで新聞を受け取るようになった。
何時もなら足早に去っていく守衛さんだが立ち止まり窓の
外を見ると「またか。」とつぶやく。
マタカ ? 「どうしたんですか ?」
と広げた新聞をそのままに守衛さんの隣に立つと、
「一番北側の駐車場、今家族ずれが荷物を持ってワンボッ
クスカーから降りて来たでしょう。」
見ると、何やら楽しげにこちらへ向かってくる。
「お見舞いにしては時間が早いですね。」
「急患なら、病棟近くに止めるはず。」
「わざわざ一番遠くへ止めたのは…。」
「バスに乗り換え、駅に行くのかわかりませんが、2、3日
駐車したままの時があります。平日は大変込み合いますので
外来の患者さん方に大変迷惑がかかります。」
「今行って、問いただすわけにもいかず。かといって帰って
くるのを待ち続けるわけにもいかないので、張り紙をする
ぐらいしか今のところ策がないのです。」
と、ため息をついた。
「東側の隅に黒のワーゲンが止めてあるでしょう。もう
二か月近くになります。」
入院患者の駐車は禁止とされている、入院時に説明が
あったが。
なるほど、無料駐車場であり土日は見舞客の利用ぐらい
だからガラ空きである。
よく見れば何台も止まっているではないか。
人としてのモラルがこんなところでも問われるのか。
みごと、退院の日に教訓めいた出来事に出くわしたもの
である。
着替えをすませると看護師さんが、入院中ずっと腕に
はめていたバーコード付きネームバンドをはさみで切って
くれた。
退院の実感がこみ上げた。
病室を後にエレベーターに向かうと、
背中の方でオーイおじさんの元気な声がきこえる。
忘れることはないだろうその声は、
だんだん小さくなっていった。
- No.14 人それぞれ...。 入院十一日目
-
2014.09.27 Saturday
No. 14
急性胆管炎、発症から手術、入退院までのちょっと可笑しな体験記
2014.7,25
明日退院と正式に決まった。
さて、ずっと気になっていたのが病棟下四階にせり出した
この一角。
芝生の幅が違い、周りには玉石(直径10Cm以上)
が敷き詰められていて、夜はライトアップされている。
何人もの看護師さんに聞いてもそれがなんなのか知る者は
いない。「知ってる人がいたら聞いておきますね。」と可愛
らしくCTE48たちは言っていたが、未だ正体不明である。
皆忙しいのだろうができれば明日までに、退院前には知り
たいものである。
検査入院で一泊された方は昨日の朝に退院された。
皆に挨拶して回っていたその時、オーイおじさんが叫んだ。
「オーイ、オーイ。」
廊下の向こう側に目をやり、ため息をつくと何か言いたそう
であった。が同室の皆は気にするそぶりも見せないので、
合点がいかないのか、首を傾げると不思議そうにそそくさと
病室を後にした。
病室内は三人となったが、病名が皆違うので担当の医師も
違えば担当の看護師さんも違う、午前中から家族が見舞い
看護に来たり、午後は見舞客がそれぞれに来るので一日中
人の出入りが絶えず大賑わいである。
三日前までの静けさがウソのようだな。
病気も入院も本当はウソであって欲しかった。
時は、皆平等に過ぎていくのに生き方はそれぞれである。
どうせなら正面向いて突っ走り倒れたいと思っていたが、
今回の事を機に振り向いたり悔んだりしている。
まぁ、いい歳になって来たんだから少し休憩しろよと言う事
であろう。
- No.13 初めて見るドクターヘリ 。 入院十日目
-
2014.09.20 Saturday
No. 13
急性胆管炎、発症から手術、入退院までのちょっと可笑しな体験記
2014.7,24 AM7:00
早朝、採血をした。めずらしく担当のS医師が朝来て、
「採血の結果次第だが、昨日の検査では異常は無かった
ので明後日の土曜日に退院としましょう。」
そう告げると疾風のように去って行った。相変わらず
忙しいようである。
AM 10:00
看護師さんが来て、採血の結果は良好で、昼から食事が
でますと告げられた。
よって短い間ではあったがてんちゃんともこれで
オサラバである。ヨカッタ、ヨカッタ。
別れを惜しんで ? いると、「バラバラ。」と窓の外から
聞きなれない音がする。
あっ! と、声を出す間もなくドクターヘリが目の前を
下降していった。
大変不謹慎であったが思わずシャッターを切ってしまった。
看護師さんの咳払いで後ろを振り返ると、あれま! 同室の
患者さん見舞客も皆窓際に集まって写真を撮ったりと賑や
かであった。
入院十日目にして、初めて見たドクターヘリなので色々と
感慨深いものがある。
あれには乗りたくないよな…。
と、皆が窓際に張り付いている時、掃除のオバ(師匠)さんが
血相を変えてやって来たのを私は見逃さなかった。
トイレの扉を開け中に入ると、今朝の担当医のごとく疾風の
ように去って行った。
弟子の不始末か、何か忘れ物でもあったのか全室確認して
いるようである。
師匠に休息はあるのだろうか…。
血液検査結果をコピーしてもらったのでちょっと見にくい
でしょうけど貼り付けときます。
入院初日からの今日までの経過です。自分でもこんなに
ハイ(H)な数値は今まで見たことなかったよ。
- No.12 満室となりました。 入院九日目
-
2014.09.13 Saturday
No. 12
急性胆管炎、発症から手術、入退院までのちょっと可笑しな体験記
2014.7,23 AM6:30
朝食の代わりに、また新しいテンちゃんが付いた。
午前中に手術を行う。内視鏡により先の手術で胆管に
残してきたチューブを回収する。(胆汁、石の通りを
良くする為のものであった。)
今度のテンちゃんは動きが良い。が少々大きめで車輪が
足に当たりやすい。長い散歩は無理のようだ。
なかなか自分に合った点滴スタンドには巡り会えないな。
まっ、正直長く一緒にはいたくないが…。
例によってカクカクと動く手術台に寝かされて30分程
で終了した。スタッフの手際の良さは毎度感心させられる。
結石は無く良好であった、一安心である。
朝方、二人の患者さんが入室してので四人部屋は満室と
なり、急に賑やかになった。
オーイおじさんが叫んでいるが、昨日入室した方は
補聴器を外しているので聞こえないらしい。
もう一方は、突然大きな声で、帰りたいなぁとか、ご飯が
まずいなぁとか、放免にしゃべっているので気にする様子
も無い。
唯一、検査入院で一泊するという方は大分気になるようで
「オーイ。」と叫ぶ度に顔をあげていた。
「今日は、散歩はだめですよ。」とCTE48にクギをさされ
今日は、久しぶりに一日ベットに横たわっていた。
つづく
- No.11 命の洗濯だよ。 入院八日目
-
2014.09.06 Saturday
No. 11
急性胆管炎、発症から手術、入退院までのちょっと可笑しな体験記
2014.7,22 AM5:00
一日のスケジュールが出来上がり、割と忙しい。
AM 5:00 起床。
6:00 散歩兼、新聞購読。
7:00 朝食(食事時間は変則的であり、20分前後ズレが
ある。
8:00 この時間までにトイレをすませ掃除師弟を待つ…。
9:00 狩猟免許試験勉強。
|
11:00 二時間程勉強すると厭きて来るので、程々にする。
12:00 昼食
PM 1:00 なんとなく昼寝。
2:00 狩猟免許試験勉強
|
5:00 試験勉強終了。
午前も午後も試験勉強中に見舞客が訪れるので、
丁度いっぷくできる感じだ。
夕食前に20分ほど散歩をするが結構な運動量と
なっていると思う。別に競ってるわけではないが
似た人がいるので、つい長くなってしまう時がある。
6:00 夕食
7:00 プロ野球中継などを見る。
(BSが見れるのでちょっと救いである。)
9:00 結局、試合終了後まで見ている気になれずに本を
読んだり日記を書いたりしている。
10:00 就寝時間前後CTE48(AKB改め病院名の頭より)の検診
を受け眠りにつく。
朝5時起床は長年習慣となってしまっているようでどうしても
起きてしまう。
顔を洗い身支度して、体操をする。
お茶を飲みながら日記を書いたり、本を読んだりして、
院内起床時刻6時まで時間をつぶす。
個室状態なので好き放題である。
午前中に来る掃除の師弟をベットの上で待ち構えるのが楽し
みである。
時間つぶしにはテレビでも見てれば良いかと思っていたが
以外とつまらないし、見る物がない。
バラエティーやお笑い物は言うに及ばず、映画、ドラマ、
ドキュメンタリーにしても何だか白々しく面白くない。
NHKのニュースも特報でもない限りは一日同じ映像を使い
回しているしな。
入院中という特異な精神状態であるからだろうか?。
が我思うに、何にしても贅沢な時が流れていると思う。
この日の午後、補聴器を付けた年配の方が入室した。
つづく
- No.10 ちょっと里心が…。 入院七日目
-
2014.08.30 Saturday
No. 10
急性胆管炎、発症から手術、入退院までのちょっと可笑しな体験記
2014.7.21 AM 10:00
10時過ぎ掃除の師匠(オバさん)がやって来た。
今日はひとりで、ゴミの回収だけである。
「相棒(オネエさん)はどうしたの?」と聞くと
「休みなの。」と、嬉しそうに答えた。
先週は師匠も、弟子もさぞかし疲れたろうな。
「オーイ、オーイ。」
疲れを知らないのがオーイおじさんである。
「オーイ。」の他にも何か叫ぶ時もあるが、よくは聞き取
れない。
最近夜よりも昼間の方が叫ぶ回数が多くなっている。
それに居場所がだんだん遠くなっている気がするのだが。
パターンが変わったのか、何か対策がとられたのか…。
見舞いに訪れた人たちも少々逸脱したあの叫び声には一様に
驚き、気の毒がってくれる。が初日の夢、三途の川の話をす
ると、皆さんそういう事ならばと微笑んでくれる。
入院も一週間、体調はすこぶる良好でパジャマさえ着ていな
ければ見舞客と一緒にエレベーターに乗ってしまいそうである。
ちょっと、里心がついてきたか。
なるほど、このピエロパジャマには意味があるんだな…。
つづく
- No. 9 只今狩猟免許試験の勉強中 。 入院六日目
-
2014.08.26 Tuesday
No. 9
急性胆管炎、発症から手術、入退院までのちょっと可笑しな体験記
2014.7.20
ほぼ毎日が経過観察状態なので本来ならとっくに
退屈している筈なのだが。
ほれ! この通り抜け目が無い。
入院支度のバックの中に忍ばせて置いた狩猟免許取得
のための教科書と問題集。(銃猟ではなくわな猟の免許
を取るつもりである。)
長い間、馬を飼い、牛を飼い、山に篭っていた時期も
あったので動物とのやり取りはお手の物である。
農作物を作るようになって被害の甚大さに、人任せには
できないと思った。
が普段は仕事も忙しく、夜になれば一杯飲んでしまうので
なかなか勉強も進まない所であった。
何が災いし、何が幸いするのかは分からない物である。
四人部屋の病室も貸切状態がつづいており、空調も
バッチリ( 動かないので寒いぐらいだ。)三食昼寝付きで
リゾート気分を満喫。
午前午後二時間程勉強し飽きてきた頃に、AKB48ばりの
看護師さんが検診に来てくれるのでそれも楽しみである。
難を言うならこのピエロ服のようなパジャマ(病院貸出し用)
は早く脱ぎたかったが…。
朝一番に散歩をし、新聞を読み、朝食となり、そうじの師弟
がやって来て、試験勉強、AKB48が登場し、昼食となり、
ちょっと昼寝をして試験勉強、運動がてらに散歩をして、
単子本など読んでる間に夕食となり、野球中継なんぞ見てると、
再びAKB48が登場しアレよと言う間に一日が過ぎてしまう。
中々贅沢な入院生活である。
つづく
- No. 8 掃除のオバさんとオネエさん。 入院五日目
-
2014.08.21 Thursday
No. 8
急性胆管炎、発症から手術、入退院までのちょっと可笑しな体験記
2014.7.19 AM 8:45
毎朝9時前にやって来るのが掃除のオバさんとオネエ
さんである。師弟関係にあるのかは定かではないが、
入院初日から毎日笑わせてもらえるので楽しみにしている。
師匠のオバさんは70才ぐらいであろうか。小柄て゛
細身だが、立ち居振る舞いがベテランの域である。
弟子のオネェさんは40才前ぐらいか、小太りでお尻
の大きいブラジル人かな?。どう見ても聞いていても、
その日が初出勤のようであった。私もまだ絶対安静と
言われベットでジッとしていたから、ふたりのやり取りが
良く聞こえたのである。
「あー!、ダメダメ。」
「違う!、違う!。」
「このモップはトイレ用で、これは病室用なの。」
悲鳴に近い師匠の声が小さく響き渡る。
「トイレットペーパーの先は三角に折っておくのよ。」
「判りましたか?。」とやさしく諭すが。
「ワタシ、コトバ、ワカラナイ。」と弟子が答える。
笑いをコラえるのが大変だった。
後でトイレに入ったらトイレットペーパーの先は
台形に折られていた。
翌日の朝も全く同じやり取りだったので可笑しかった。
弟子のオネエさんもそれなりに一生懸命やっているの
だろう。
師匠のオバさんも言葉を選び選び教えているんだが、
どうも二度手間仕事になっているようである。
何時も私が居るので教え方に気兼ねしているのかも
しれないと思い、テンもいなくなって身軽になった事
だし用もないがディルームへ行くことにした。
師匠とすれ違いざまに「先生も大変ですね。」と言うと
「いえ、いえ。」と恥ずかしそうにしていたが、
「違うの、そのモップは外用なのよ。」と再び小さく
叫んだ。
ガタン、パタンとなかなか荒々しいモップがけである。
やっぱり今日は徹底的に仕込んでもらおう。もう少し
楽しみたかったがディルームへとそそくさと退散した。
今朝は、念願の真っさら新聞を隅から隅まで読んで
しまったのでディルームでの楽しみは今は無い。
そうだ、点滴が外れてシャワーの許可が出ていたっけ。
予約表を見ると丁度今開いている、病室番号と名前を
記入しすぐに部屋に戻る。
すると、何時もより大きな声で師匠が指導していた。
着替えとシャンプーを持ってシャワー室へ向かう。
年甲斐も無く長髪なので早く髪の毛を洗いたかった。
全身くまなく洗い流し久しぶりにサッパリした。
鼻歌交じりで部屋に戻ると、おっ! 床がぺトペト
しないぞ。トイレをのぞくとペーパーはちょっと長いが
しっかり三角形になっている。
オネエさん、見事会得したようである。
思わず拍手。パチパチ…。
意外とアキナイ入院生活である。
つづく
- No. 7 テンと張り込み。 入院四日目
-
2014.08.17 Sunday
No. 7
急性胆管炎、発症から手術、入退院までのちょっと可笑しな体験記
2014.7.18 AM 5:00
普段から生乳の仕入れなどで朝五時前には起きているので
どうしても目が覚めてしまう。
未だ( オーイおじさんのお蔭か。) 四人部屋を一人で
使っているので、起床時間前に起きだしては本を読んだり
体操をしたりしている。
起床時間の六時になると待ってましたとばかりテンを連れ
て散歩に出掛ける。
相変わらず出来の悪い相棒だが、返って愛着がわくという
ものだ。と言うのも昨日の散歩時、テンの性格が読み切れて
いなかったので直ぐに体力を消耗しディルームで休憩する
羽目となった。やっぱり交換してもらうかなと思っていたら
自動販売機の横に本と一緒に新聞が置いてある。中日新聞、
しかも広告入りで。
「やった! 楽しみが一つ増えた。」
外界と遮断されたこの場所で信じられる唯一の身近な情報源
である。大袈裟と思うかもしれないが、入院とはそういう
ものである。
テレビや携帯のiモードでいくらでも最新情報は得られるが、
そういう問題ではないのだ。
で、この新聞が何時、誰がこの場所に運んでくるのかが問題
であった。新聞屋さんが配達しているとは思えないので、
テンと散歩のふりをして張り込みをすることにしたのだ。
このデイルームとエレベーターの間には空間があり、ぐるり
と一周できるようになっている。配達人は必ずエレベーター
を使って上がってくるはずなので、この約150mの円周を
散歩していればきっと行き会うはずだ。
「あっ! テンの様子がおかしい。」
しまった点滴の残りが少ない、戻らないと看護師さんに
怒られるな。検温とかもやってないし、たしか採血をする
って言ってたな。
AM6:15
張り込み開始から15分、職員用エレベーターのドアが
開いた。
手には何部もの新聞をかかえた若い守衛さんが足早に
ディルームへと向かう。
やった、(犯人は?)守衛さんだったのか、急いで後を追う
がテンの動きが悪い。しかも点滴は空に近く、慌てたせい
か血が逆流している。
真っ新な、角の揃った新聞が読みたかった。
残念だが今回はあきらめるしかない。
カラカラ、トボトボと部屋に引き返すと、看護師さんが
仁王立ちで待っていた。
採血を終えると。
「午後からエコー検査があるので昼食はありません。」
とちょっと冷たく告げられた。
午後、車いすに乗せられて一階のエコー検査室へ向かう。
何日かぶりで六階の病棟を離れ地上へと戻る。外へ出た
わけではないが外界の熱気があふれ返っていた。
夕刻、担当のS医師がやって来てエコー検査は異常なく
血液検査の数値もかなり改善してきたと告げられる。
入院時の数値を比較すると驚くほどの違いがあり、N医師が
慌てて紹介状を書いてくれたのもうなずけるところである。
「これなら、点滴を止めても良いでしょう。無くなり次第
外すことにします。」
なんと今朝は楽しく一緒に張り込みをしたというのに、
テンとはもうお別れなのか…。
PM10:00
消灯間際、テンは空になった。
看護師さんが手際よく針を抜くと、すっと軽くなった。
「さよなら、テン。」
あー、やっと足かせが外れた。
動物的な開放感が全身に伝わるな。
「おー、自由だ。」
思わずつぶやいてしまった蘇庵であった。
つづく
- No. 6 テンとお散歩。 入院三日目
-
2014.08.14 Thursday
No. 6
急性胆管炎、発症から手術、入退院までのちょっと可笑しな体験記
2014.7.17 AM 6:00
小便はまだ濁っているが体調は良い。
夜になっても酒が飲みたいとも思わない、どうやらアル中では
なかったらしい。が、食事はともかくとして只の水ではなく、
味のある物が欲しかった。ジュースやコーヒー特に甘い味に
飢えていた。
朝昼晩と3回看護師さんが回ってきて、検温、酸素濃度、
血圧測定をする。時間は決まっていない。
今朝は、二人の看護師さんがやって来た、ひとりは若い
新米の看護師さんである。点滴を取り換えているがかなり
緊張している様子だったので、「今日はチョコレート味に
してください。」とオヤジギャグのつもりで言った。
というより実際欲しかったのだが、益々カタくなって
しまった。
「今朝から食事が出ます。おかゆですがゆっくり食べてく
ださいね。」
四日ぶりの食事である。おかゆだけかと思ったら、結構
ボルュームがあるな。とても食べきれずに半分残した。
内臓たちが騒ぎまくっている感じだ。
( 入院中に出された食事を記録しておいたので、献立の
ヒントにお役立てください。一番下に並べて置きます。)
さて、入院も2度目となると気持ち的に余裕がある。
特に今回のように経過観察だけの日々が続けば自分なり
の楽しみ方を見つけ出すものである。
点滴スタンドはトイレに行く時も顔を洗いに行く時も
ずっと一緒である。煩わしいが、なくてはならない存在
なので無下にはできない。この先何日生活を共にするのか
分からないので名前を付けることにした。
点滴スタンドの「テン。」なんとも単純明快であるが。
よし早速散歩に出かけるか。
「テン、行くぞ。」
カラカラと音を立ててエレベーター、デイルームの方へと
向かった。が、どうも油が切れているのか、ベアリングが
悪いのか真直ぐ進もうとしない。
スーパーなどに良くある動きの悪いカートのようだ。
こりゃ調教に失敗した犬の散歩だな。
まぁ、出来の悪い子ほど可愛いと言うしな。
それにしても歩きづらい、
やっぱり換えてもらうかな…。
つづく